DX推進取り組みについて

デジタル技術の社会への影響

新型コロナウイルスの流行を契機に、さまざまな業界で業務のデジタル化とオンライン化が急速に進んでいます。これにより、管理や効率化に焦点を当てたシステムの活用が、業界全体で変化しています。

かつては、多くの業界でシステムの活用は主に「守り」の役割を果たしていました。しかし、インターネットを介した営業や販売活動、顧客接点のオンライン化が進展することで、業界内での「攻め(売上拡大)」を目指すシステムの活用が急速に広がっています。この変化は、製品やサービスの開発強化やビジネスモデルの変革を促す動きを生み出しています。

業界全体でのシステムの活用が急速に拡大している速度は、予想を大きく上回っています。これにより、企業や組織は新たなビジネスチャンスを発見し、市場の変化に素早くかつ柔軟に対応することが可能になっています。デジタル化とオンライン化の進展は、業界のイノベーションを推進し、新たな成長の機会を創出していると言えます。

DXビジョン

当社はこれまでお客様、お取引企業様との「Face to Face(対面)」を重視しながらさまざまな事業に取り組んで来ました。多くのお客様、お取引企業様と対面でコミュニケーションすることで、消費者のニーズや関心事を的確に把握することができます。この強みを活かしたデータ活用を行いつつ、さらにIT・デジタルを活用した新しい技術やソリューションを積極的に取り入れ、お客様、お取引企業様にとって価値ある新しいサービスや商品の創出などを行い、常に社会に貢献する企業であり続けることを目指しています。

DX戦略

当社は、以下の戦略のもとで、DXの取組を進めています。

  • 経営基盤強化としてのIT・デジタル基盤の整備及びDX人材拡充
  • 蓄積したデータを整備し、BI分析基盤を構築することにより消費者のニーズや関心事を的確に把握できるようにします。
    また、これらの分析を実現するためのDX人材を外部・内部の研修により育成します。

    具体的には、事業毎に管理されている基幹システムの顧客情報を横断的に分析できる「名寄システム」を整備します。
    分析システムは、AI活用と企業データの分析コンサルタントの株式会社ブレインパッドと共同開発します。
    また、必要となる分析専門エンジニアの確保は、グループ会社JIMOSとの共同プロジェクトを立ち上げることで実現させます。さらに分析対象データ及びその加工方法については、マーケティングに特化した部署と綿密に連携することで精度を高めていきます。
    これらのデジタル化を整備することにより定期的に分析データが出力できる環境を整備することにより、顧客満足度の向上とDX人材の育成を行います。
     
  • IT・デジタル技術を通じた当社従業員、お客様、お取引企業様の生産性向上
  • スマートデバイスを拡充させ、営業拠点パソコンに依存しないデジタル業務へシフトさせる事で、生産性を向上させます。

    具体的には、クリクラ事業では、販売管理システムを中心としたクリクラビジネスプラットフォーム「CrePF」を構築し、紙媒体を使用した入出庫、配送、精算業務をデジタルシフトします。基幹となるシステムは、ローコード開発ツールのTALONを採用し、自社開発します。スマートデバイスとの連携はノーコードのデータ連携ツールAsteria Warpを採用し、モバイルアプリをノーコード開発ツールPlatioを採用し自社開発します。
    「CrePF」の導入に伴い、お客様へ提供する納品書は、事前に店舗から印刷したものを持参する運用から、その場で印刷可能な運用になるため、モバイルプリンターを整備します。納品書を電子化することで、外部システムより連携された受注修正等を現地で即座に反映できる運用にします。業務をペーパーレス化し、さらに基幹システムの1つである販売管理システムとAPIでデータ連携をすることにより、精算業務も自動化します。
    これらのデジタル化を整備することにより帰社後作業の削減と、配送員の業務負担や残業時間の削減を行います。

  • IT・デジタル技術を/利用した今までにない新しいビジネスの創造
  • ハガキによるクレジットカード決済の申込受付もオンライン化することで、お客様の利便性を向上させます。将来的にはインターネットによる顧客接点を増やした販売活動も活性させていきます。

    具体的には、レンタル事業の決済方法の利便性を向上させます。現金から、クレジットカード決済に変更する場合、申込ハガキからの手段のみの状況から、WEB受付サイトを新たに構築することで、WEBサイトからの決済変更が24時間できるようにします。
    これらのデジタル化を整備し、現金決済以外を増やすことで、不在時の納品業務の改善と、顧客利便性を向上させ、新たなビジネスを創造します。

DX戦略を支える推進体制

当社では、上記の戦略を実現するために、プロジェクトDXを立ち上げ、DX推進に積極的に取り組んでいます。このプロジェクトDXでは、代表取締役社長が総責任者として指揮を執り、各事業やグループ会社、外部協力会社とも必要に応じて連携することで、組織全体が一体となったDXの推進を行います。

具体的な人材の育成・確保については、社内公募制を実施し、外部・内部のDX研修等に参加させるなど、人材育成を段階的かつ継続的に行います。さらにデジタル推進の専用部署も設置することで、ITエンジニアのリスキリングとDX人材としての育成も行います。また、外部IT企業とも積極的に交流し、最新のDX知識の更新を継続的に行います。

DX戦略を支える推進体制Img

DX推進施策

DX戦略に基づき、次の施策を重点項目として取り組んでいます。

1. 経営基盤強化

  • 社内IT/デジタル環境の整備・拡充(モバイル化含)
  • レンタル事業とクリクラ事業において、ローコード開発ツールTALONを採用し、自社開発環境へ基幹システムをリプレースします。ローコード開発ツールの活用により、内部環境・外部環境の変化に迅速に対応できるようにします。
    クリクラ事業では、ノーコード開発ツールPlatioを採用し、自社でモバイルアプリを開発します。同時にモバイルプリンターを各配送員に配布し、精算業務のペーパーレス化と納品伝票の即時修正・印刷の環境整備を行います。

  • 顧客データや人材データ活用のためのデータ活用プラットフォームの構築・整備
  • 事業毎に異なる基幹システムを利用しているため、顧客情報の管理項目が共通化されておらず、事業横断的な顧客分析が困難なため、株式会社ブレインパッドと共同で名寄システムを開発し、分析基盤の環境整備を行います。
    また、社内の人材データを活用するための情報管理がアナログ情報であるため、人材データの管理・分析ツールとしてHRBrainを採用し、人事評価、人材育成・配置、人材データ管理、組織分析が可能なデジタル化と環境整備を行います。

  • 事業継続や災害対策への対応によるクラウドシステム活用
  • 現行のデータセンター及び自社拠点配置の機器を更新タイミングで仮想化及び、クラウドのMicrosoft Azure環境へシフトすることで、事業継続や災害対策を意識した環境整備を行います。
    また、グループ会社含めたネットワーク統合により、スケールメリットによるコストの最適化や削減可能な環境整備を行います。

  • 従業員への階層別DX/ITリテラシー研修の実施
  • 新卒2年目には、KIYOラーニング株式会社のAirCourseを採用し、DXに関係する基礎学習をeラーニングにて実施できる環境整備を行います。社内のIT部門エンジニアのDX教育には、オンライン学習プラットフォームのUdemyを採用することで、学習負担なく、スキマ時間にリスキリングできる環境整備を行います。
    部署のDX人材をピックアップし、外部研修への参加と自社内のDX案件になる課題整理と改善提案のPDCAサイクルを回せる環境整備を行い、継続的にDX化が進むような体制を整備します。
    グループ会社含めた新規事業創造コンテストを年1回開催します。書類審査と1次通過者に対しては事業計画作成までの研修を実施し、現場当事者からの新たなビジネス提案ができるような環境整備を行います。

2. 事業生産性向上

  • 各事業基幹システムのローコードツール内製化開発による刷新(業務プロセス見直し含)
  • 業務処理見直しによるプロセス整理と自動化(省力化)/ペーパーレス化
  • デジタルによる車両運行の効率化及び安全性担保(配送ナビ連動、運行日報自動化、運転診断等)
  • 営業活動見える化による営業スキルの定量化と既存サービスへの横展開
  • 全国トップビルダー様のノウハウをデジタル/システム化、取引工務店様の経営効率化を提供

3. 新たな価値提案

  • データドリブンな提案営業活動(パーソナライゼーションへの挑戦)
  • WEBによる受注/販売プロセスの高度化(オンライン住宅展示場、メタバース)

4. 新規ビジネス企画/提案環境整備

  • DX研修や社内コンテストを活用した、新規事業構築スキームの整備

DX推進指標

DX戦略に対し、主な指標を下記として掲げ定期的に進捗確認を行います。

戦略 指標 目標値
経営基盤強化としてのIT・デジタル基盤の整備及びDX人材拡充
  1. データ活用プラットフォームの構築
  2. IT/DX系有資格者
  1. 2024年1月~供用開始
  2. 情報処理技術者15名
    データ分析要員3名
    (2023年度中)
IT・デジタル技術を通じた当社従業員、お客様、お取引企業様の生産性向上
  1. 各事業基幹システム刷新及び生産性向上による残業時間削減
  2. 従業員による既存事業へのDXによる改善提案
  1. システム刷新:2023年度中
    残業時間削減:前年比10%削減
  2. 3件/年間
IT・デジタル技術を/利用した今までにない新しいビジネスの創造 従業員による新規事業提案件数 3件/年間

2023年6月25日
株式会社ナック
代表取締役社長 吉村 寛